
ここでは何故放流をしてしまうのかを考えてみました。 例えばアジアアロワナなどはせいぜい70cmのサイズで止まりますし、 しかも里親に出すにしても、ある程度金額も付く事からショップなどでも下取り魚として引き取って貰える場合もあります。 問題は1m近くになるような大型魚や、大食漢で餌代が膨大になる魚、長寿で飽き易い魚などが放流されてしまうのではないでしょうか?特にそれらの魚種のうち3000円以下位の値で販売されている魚を飼育する上で、生体と共に水槽設備に投資される人は少ないのではないでしょうか。 今まで小型種を飼育していて新しい魚を導入した場合、初期整備の幅60cmの規格水槽でも飼育できる中・大型魚の幼魚を購入する機会が多いのではないでしょうか? 熱帯魚の維持や設備には想像以上のお金が掛かります。
水槽を大型化するのに1つのハードルとして、『幅120cm*奥行き45cm*高さ45cm』のガラス水槽がありますが、ここまでは規格設備と言うことで大量生産ができ比較的安価で市販されていると思います。 ところがこのサイズを越えると水槽設備は途端に金額が跳ね上がります。
また単なる水槽サイズの問題だけではなく、上記の『幅120cm*奥行き45cm*高さ45cm水槽』でも水量だけでも『200L』以上になり、濾過設備等含めた総重量は『300kg』前後と言う荷重に耐えられる設置場所や電気代、 これらの中・大型魚の餌が金魚やコオロギと言う生餌が主で之もショップ等で購入しなければならない事など、結局は経済的な金銭問題に行き当たると思います。
理想を言えば、興味だけでこれらの魚種を飼育したいと言う方には、将来的にかかる経費も含めて購入前にもう一度飼育スタイルを考えて購入して頂きたいと思います。 決して衝動買いで維持の続けられる魚達ではありません。
水槽は大きいことに越した事はありませんが、当管理人会として推奨できる水槽サイズは飼育予定の魚のミニマムサイズが『100cm』として『幅300cm*奥行き150cm*高さ100cm水槽』を推奨します。 之は単純に体長に対しての比例で表され体長を『1』としたら水槽の大きさは『3*1.5*1』と言うことです。 このサイズは餌の量のコントロール等をせず順調に生育をした魚に必要と思われる基本的な水槽のサイズです。ただ、これらのサイズは魚に依っても変わってきますし、ある程度余裕を持たせ混泳できる環境ではありますので単独飼育でしたら全体の『2/3』の大きさの水槽で大丈夫だと思います。 上記の水槽で言えば『幅200cm*奥行き100cm*高さ60cm』と言うサイズになります。
当管理人会では熱帯魚にできるだけストレスを与えない飼育方法がベストと考えておりますので、このようなサイズでの飼育を推奨してはおりますが、 之以下のサイズの水槽で飼育できないか?と言えば決してそう言う事ではありません。 その実例は様々なサイトで見受けられますので、そのようなサイトが在りましたら紹介をお願いいたします。
放流する人の気持ちは、飼い切れなくなり、狭い水槽で餌も十分に与えられないのであれば広い川のほうが幸せなのでは?と言った動機で放流してしまうのではないでしょうか? しかし殆どの熱帯魚は冬季の水温低下に耐えられず死んでしまいます。 これは自分の手で殺さないだけで実際は、魚を殺していることには何の違いもないことに気がついて欲しいと思います。また日本の川の大半は熱帯魚の故郷から見れば急流とも言えますので、夏でも水温は低く、十分に活動するだけの体温を維持するのは難しく、餌も故郷の川と比べれば各段に少なく、 水質も『環境ホルモン』や『洗剤』等の家庭から排出される物質によって汚染されています。 放流される魚達は生物ピラミッドの頂点に位置する魚達ですので、これらの汚染された餌を食べ 体内で凝縮され最後は死に到ります。 劣悪な環境下で放流された魚達は必死に生き延びていかなければならないのです。 このような状況が放流された魚達にとって幸せな環境と言えるのでしょうか?
北米産のロングノーズガーはその生息域から言っても温帯地域にも生息していますし、アリゲーターガーも越冬可能なので帰化も出来ます。 また温排水の流れる工場地帯であれば熱帯魚も一地域的に帰化が可能なのです。 帰化した魚達はその地域の在来種を餌として捕食することで生き延びますが、 之によって起る生態系の破壊をよく考えていただきたいと思います。
人間が直接危害を与える場合もあります。 釣りは本来、釣りたい目的の魚があり、それ以外の魚が釣れても『外道』として大半はリリースされますが、 『ギャング釣り』と言う、数本の鈎針が放射状に上を向いて取り付けてある針を用いて魚を引っ掛け釣りする方法があります。 『ギャング釣り』で体を裂かれた魚はリリースされても生き延びるのは稀で殆どはそのまま死にますし、見た事も無い魚が釣れたとしてそれを持ち帰って食べると思いますか? たぶん、そのままゴミとして捨ててしまい家族の不評を買うだけではないでしょうか?
このように、日本の河川では放流されたところで熱帯魚達には幸せはないと言うことです。 飼育する前に自分の所有する設備で飼育できるかどうか、良く考えていただきたいのです。 また手におえなくなり、放流と言う文字が頭を掠めたら、知人やインターネットの掲示板、ショップ等に引き取り先を探す努力をするのが飼育者に残された最後の責任だと思います。 本来であれば、入手した魚を終生飼育することがアクアリストとして最低限のモラルであるのは言うまでもないことですが。